高3「愛と性を考える」

カトリック女子校に勤める男子教員が「愛と性」を女子生徒に説くのは大変難しいでしょう。それは女の子たちの心の地雷原を歩くようなもので、地雷に触れると爆発して大変なことになります。 しかし、これは避けて通れない教育場面なのです。

何回かこれを試み何度か地雷が爆発して傷ついて、最近ようやく地雷に触れずに、しかも男子教員にしかできない「愛と性」の教育を編み出すことができまたような気がします。

まず1時間目授業の前半は「恋愛について」書かれた文章を読むことにし、後半でこの「恋のシナリオづくり」を生徒にやってもらうことにしました。 「恋愛について」という文章として選んだのは

「恋愛なんかやめておけ」(松田道雄著 筑摩少年図書館)

「恋愛は失恋と別離を生む」(亀井勝一郎著 『青春論』所収)

「男から女へ」(大宅歩著『詩と反逆と死』所収)

「思春期 デート」(山本コウタロー著 朝日新聞社『生きてある日々』所収)

あるいはさだまさしの「恋愛症候群」「新恋愛症候群」をきくこともある。

いずれも男性の立場からの恋愛論です。女性の立場からの恋愛論は私のスクラップブックには当時なかったのですが、その後「恋愛論」(柴門ふみ)を紹介したこともありましたが、なかなか適当なものが見つからなくて………。

そして後半の「恋のシナリオづくり」のワークシートを作成しました。当時まだワープロはなく、手書きの文字でプリントを作りました。そこにはこういう設定が書かれていました。

【作業1】ひとりひとりがシナリオライター

ボーイフレンドとデートをした。お茶を飲んで、映画を見た帰り。所は渋谷公園通り。彼がささやく。
「今夜はかえりたくない。きみのこと愛してるよ。いいだろ。 今日読んだプリントの感想、自分の気持ちを代弁してくれた文章、心を揺さぶられた、カチンと来た部分があったら、それをあげ、どうしてそうなのかを書き記しなさい。 その返事と以下につづくセリフを考えてみてください。
【作業2】上の問題がどうしてもできない、あるいはひとことで終わってしまったという人のための予備の作業。

【作業2】は【作業1】をどうしてもできない人のための「予備の作業」でした。みな【作業2】を選んでしまうかもしれないという危惧はあったのですが。それでもいいことにしました。

しかし、【作業1】は猛反発を食らいそうな気がして不安だったので、それを実施する前の晩に、知り合いの若い女子大生に聞いてみました。「こういうことをしてみたいのだけれど、どう思う?」とプリントを渡して読んでもらいました。 彼女はそのプリントをじっと読んだあとにこういいました。

「至さん、このセリフ言ったことないでしょう。これ男のセリフじゃないわよ。」 「えっ!」私ももう一度読み直して気がついた。 「男だったら、『今夜はかえりたくない』ではなくて『今夜は返さない』あるいは『今夜は返したくない』じゃないのかしら」 「なるほど。そうだよなあ」 はからずも私の経験不足が露呈した。 「でも、いいんじゃない。私もこういうのを書いてみたいし、ほかの人が書いたものを読んでみたい。こういう授業を受けてみたかったわ」

これで決まりました。しかし、もうプリントは全部印刷してしまったし、作りかえるのはもったいないし……………。いいやこれでやろう!ということにしたのです。 今から思うとかなり大胆な試みです。あのころの私は本当に恐いものしらずでした。

さて、いよいよ授業です。 まず「恋愛論」のプリントを読むことからはじめました。黙読して、印象に残った部分にアンダーラインを引いてもらいながら読むように指示しました。

そしてだいたいひととおり目を通したころを見はからって、「恋のシナリオづくり」というプリントを配りました。 そのプリントを見た生徒は「え〜! なにこれ。こんなことを書くの?」という反応が表れます。その反応はプリントが教室全部に配られるとともに、クラス中に広がっていきました。

「今日は、みんなにシナリオライターになってほしい。」といって、配られたプリントに書かれていることを読み上げました。

「名前は書かなくてよろしい。ということは、誰が何を書いたかは詮索しないということだ。自分の考えていることと異なった展開になってもいい。経験のある人は自分の経験に即してリアルに、経験のない人は想像力を働かせてリアルに仕上げてほしい。どうしても書きたくない、あるいは書けないという人は先に配った『恋愛論』を読んでの感想を書いてください。」

ここまで説明しても生徒たちはなかなかシナリオづくりに着手しようとしない。そこで、思い切って次のような話しをしました。

「実はこの作業をするにあたり、みんながこういうことをするのに対してどう思うか不安だったので、知り合いの若い女子大生に相談してみた。彼女はこのワークシートを読んで、『至さん、このセリフ言ったことないでしょう。このセリフは男のセリフじゃないわよ』と言ったんだ。なぜだかわかるかい?」

生徒たちはもう一度プリントを読んで、まわりの人とひそひそ話をはじめました。「男だったら、『今夜は帰りたくない』ではなくて『帰したくない』だわよね」という声が聞かれます。

「そうなんだ。男のセリフは『今夜は帰したくない』もしくは『帰さない』だというわけである。はからずもわたしの経験の未熟さがばれてしまったというわけだ。彼女は続けてこうも言った。『でも、いいわ。やってみなさい。私もこういう時のセリフを考えてみたかったし、他の人がどういうことを書くかとても興味ある。この授業を受けてみたい』とまで言ってくれた。 「とは言ってもワークシートはもうすでに印刷してしまったし、恥を忍んでこのまま出すしかないと思って、そのまま配ったというわけである。このセリフをそのまま生かしてもいいし、男のセリフに変えて書いてもいい。」

私が自分の恥を忍んでこの話をしたことによって、生徒たちは、「そんなら書いてやってもよい」という気になったようです。ペンを持つ手が動きだしました。

誰かが「不倫の恋にしてしまおうかしら」とボソッとつぶやくと全員がどっと笑います。書き進めていくに従って、「どうしよう。私止まらなくなっちゃった。」という声がでてきて、またどっと笑います。

そろそろ書き終わったかなという頃になると、あちこちで書いたものの交換が始まりました。前の生徒をつついて、黙って自分の書いたものを差し出す。自分のを読ませてあげるからあなたのも読ませてという意味です。

そして交換したものを読んでけたけたと笑って返します。なかにはさらに横の生徒やまわりの生徒と交換がつづき、教室中が騒々しくなっていきました。 チャイムが鳴って時間になりました。

「この次の授業で何人かのシナリオを読み上げるから、どうしても読んでもらいたくない人はその旨どこかに書いてください。じゃ、後ろの人、集めて。」

この授業は、その後毎年行うことになるのだが、シナリオづくりのワークシートは一番最初に作った手書きのものを使うことにしています。つまり、毎回、私の恥をさらすことになっていて、生徒たちも「それだったら書いてやってもいいか」という気にさせているのに役立っていると思うのです。

授業が終わって、さっそく生徒たちがどのようなシナリオを書いたのか、ちょっとハラハラしながらシナリオを読んでみました。あんがい真面目にこれを書いていてくれて、ちょっとほっとした感じです。

学年全体で170名の生徒がこの作業を行ったのですが、そのうち140名くらいが作業1のシナリオづくりをおこないます。この割合は毎年変わりません。そしてシナリオを書いた生徒のうち、「YES」の答えをして、ネオン街に消えていく展開をするのは1割足らずで、9割がこのボーイフレンドの申し出に「NO」と答えます。この割合も毎年変わらないようです。

「YES」の返事をしたなかにはあきらかにおちゃらかす感じの応答をするものもある。ここではそれは問題としない。そういう反応をする気持ちもわからなくはないからです。

問題は9割の「NO」の返事をしたシナリオの「NO」の理由です。大半が「明日学校があるから」「まだ高校生だから」あるいは「家がうるさいから」という理由なのです。

こういう理由をあげてことわると、男につっこまれるセリフがつづきます。「じゃあ、学校がない日ならいいのか?」「どうして高校生だといけないんだ」あるいはなかには「オレよりも家族のほうが大事ということだな」というセリフも生まれてくる。そうつっこまれて口ごもってしまい、みずから作った受けごたえに自ら窮しているという感じのものも少なくありません。

かと思うと、このセリフを言われたことがあるのではと思うようなリアルな展開になっているものもあります。 生徒の書いたシナリオの中から、次の授業で発表するものを選び出し、さらに「こういうセリフを言われたら、男はひるむのではないか」という「名セリフ」を抜き出してプリントにして、次の授業に臨みました。

さて「愛と性を考える」シリーズの2回目の授業です。 まぜ、前回のシナリオづくりに協力してくれたことへの感謝の意を伝えることから始めます。そして前述したようなシナリオづくりの全体の傾向を報告し、さらに生徒の書いたシナリオのうち、シナリオとして良くできたものを読み上げます。 たとえば次のような作品である。

♀:何が?(笑ってはぐらかす)
♂:なにがーって………。今夜は帰りたくない、いや帰したくないって言っているんだぜ。
♀:それで?
♂:朝まで一緒に過ごそうーと。
♀:つまり? (笑って相手をのぞき込むように)
♂:つまりーって、おまえわかっているんだろ。オレたち男と女だぜ。どうしていつもそうやってはぐらかすんだ。
♀:(真面目になって)私、イヤなの。あなたとのつきあいが、それだけになるのがイヤなの。
♂:そんなことないさ。どうしてそんなふうに考えるのさ。愛しているんだから、オレは。
♀:ううん、そういっているのは今だけよ。そのうち会えばそれだけになってしまう。そんなきがするの。だからイヤなの。あなたとのつきあいがそれだけになってしまうのが……………。
♂:おまえ、すいぶんマジに考えていたんだな………。
♀:ごめんネ。決してあなたを愛していないとか、そんなんじゃないの。自分を安売りしたくないの。自分を大切にしたいのよ。
♂:そうか………。わかった。オレの考え方があさはかだったな。
♀:(にっこり笑って)さあ、もう帰ろう! 電車なくなっちゃうもんね。………気にしないでね。でも、私の考えをわかってくれてありがとう。

女:え、どういうこと?
男:きみが欲しいんだよ。
女:困るわ。だって私たちつきあい始めてまだ3か月よ。わたしまだ、何の心づもりもできていないし。
男:でもオレはもう我慢できない。君を愛しているんだ。
女:愛しているって、どういうふうに? 私の何を愛しているというの? 男:君のすべてを愛している! 君のことを大切に思っているよ。
女:私のことを大切にしてくれているのなら、どうして私を抱きたがるの? 男:どうして! 君を抱くのは君を愛しているからさ! それとも君はぼくの愛を疑っているのか?
女:……あなたの愛はエゴイズムの愛よ。小さな子どもがおもちゃをほしがるのと同じ。私、あなたのことがもう信じられない。(泣く)
男:ごめん。君を悲しませるつもりはなかった。でもオレは不安なんだよ。君が他の男の所へ行ってしまうのではないかって………。だから、オレは君をオレのものにしたかったんだ………。ごめん。もう帰ろう。(二人が歩き出す。)………。 {家の前で)でも、これだけはわかって欲しい。オレは君を愛している。
女:ごめんなさい。私もちょっと意地はっちゃって………。私も反省しなくっちゃ。おやすみなさい。
男:おやすみ。また電話するよ。

女:でも、私たちはまだ若いし。他にもしなければならないことたくさんあるし。もっと清く正しくおつきあいしましょう。
男:きみはぼくを愛していないんだね。
女:そうじゃなくって。私たちはまだ自分たちですべてを判断して行動できるほど、大人じゃないと思う。だから、感情だけに流されて、後でよく考えて後悔する、そういうパターンになりたくないだけなの。
男:そんなことあるはずがないじゃないか。ぼくときみにかぎって………。必ずきみを幸せにするよ。
女:ほんとうに?
男:ほんとうさ。ぼくはウソなんかつかないよ。きみを真剣に愛しているからこそ………。
女:そうよね。私たちの愛はホンモノよ。若さゆえのあやまちなんかじゃないわよね。
男:そうさ。
女:うれしいわ。

女:本気で私のことを愛している。
男:ああ。
女:私もあなたのことを愛しているわ。他のどの人よりもあなたのことしか見えてこない………。だから、つらいのよ。
男:えっ?
女:怒らないで、聞いて欲しいの。すごく大切なことだから。恋愛もそうだけど、お互いの秘密の部分を持っているからこそ、いつも会うたびにドキドキして新鮮で。盛り上がっていくものだと思うの。でも、いつか終わりが来るし、いつか別れの時が来る。あなたのすべて、私のすべてを知ったあとに、何が残るのかしら。すべての満足を得たあと、私たちに何が残るの? もちろん否定するのがいいか、肯定するのがいいかわからないわ。ただ、すべてが満たされたあと、残るのは何かしら。別れよ。 私はあなたのことを愛している。本当に愛しているからすべてに臆病になれるし、すべてを慎重になる、本当に愛しているから何もできない。そう、もしかしたら、このままで別れることになってしまうかもしれないけれど、このまま別れる方が、満たされたあとに、飽きやお互いの欠点、醜さを見いだしたあとで別れるよりもずっといい。あなたを愛しているから、私は真剣だし、おじけづいているし、私、まるで中学生みたいにどきどきしているもの、ははは、愛してる。本当に愛している。 でも、帰るわ。あとはあなたの判断にまかせる、すべて。

たぶん、このシナリオを読んだ時だったと思う。ひとりの生徒がそわそわして、ひどく照れくさがっていた。無記名で書いてもらっていたので、こちらも誰が書いたシナリオかはわからなかったのだが、その生徒の反応は自分が書いたものであることを隠せなかったようである。
その生徒は、じつは生徒指導上でしばしば問題となる生徒であった。文化祭などにも男子高校生を連れてきたりして、この面でも目立つ「かるい」生徒でもあった。 その彼女が、このようなシナリオを書いたのが意外というか驚きでもあった。
まわりの生徒にとっても、ふだんから「かるい」子と思われていた彼女であるが、こういうシナリオを書いたことによって、その生徒を見る目が一変したのである。
卒業するまえにその生徒は、私にメッセージを送ってきた。「この倫理の授業は忘れられません。まさか私のものが読まれるなんて。作文でも何でも私は先生に自分の書いたものを紹介されたことなどいちどもなかったのですから。あれからみんなの私を見る目が変わったような気がします。」

上のようなことをもし私が言われたなら、どうするだろうということが頭でいっぱいになりました。さまざま考えた結果、私はそのときの私の状況、彼の状況、二人の仲の深さが関係すると思いました。もし、私が遊び半分でつきあっているなら、かりに彼が本気で愛してくれていてもわたしは「NO」ときっぱりいえるでしょう。もしデート、二,三回目くらいの仲でそういわれても「NO}。

やはりかるい気持ちでついて行くことはできないです。 お互い深く知り合い、理解し合って、愛し合っていた時にそれは自然と来るものであり、すんなりと入っていくことができると思うんです。男が自分の体を欲することが愛のすべてではないと思うんです。もし、本当に自分を心から愛してくれるならその分だけ私を何よりも大切にしてくれるんじゃないかと思うんです。 だから上のセリフは状況によって答えが変わってきます。もし上の男性がそれまで私を大切にしてくれていて心から愛してくれて私も心から彼を愛しているなら[YES」と答えます。

このシリーズの終わりの授業で生徒に書いてもらった感想に、こんなことを書いた生徒がいたことを紹介する。「言い得て妙」というべきかもしれない。

「この授業は幻滅です。なぜなら、恋人と一番盛り上がっていいムードの大事な時に、先生の顔を思い出してしまうからです。」

この冗談とも本気ともつかぬ感想を紹介すると生徒はどっと笑う。しかし、このことは、ムードに流れて自分を見失ってしまいそうになる時に、この[倫理]の授業を思い出すことによって、それが少しでも「抑止力」となる、あるいはふとわれに返るきっかけとなるなら、もっとも実践的な効果のある[倫理]の授業となったということではないだろうかと考えることにしている。
さて、次は「名セリフ集」である。次のようなプリントにして生徒に配る。毎年、その学年の「名セリフ」を付け加えて、バージョンアップしてきた。

1.あなたのこと好きだから大切にしたい

女:私だって一緒にいたい。でも怖いの。
男:なにが?
女:許した後に捨てられるんじゃないかということが。こんなこと言ったら怒るかもしれないけれど。
男:そんなことない。正直に言ってほしい。
女:あなたのことすごく愛しているから、大好きだから、ずーっと一緒にいたい。だから今の雰囲気を大切にしたいの。よくあるでしょ。許した後にわかれてしまうってカップルって。そういうふうになりたくない。

2.今は二人で一緒にいるだけでいいの。

女:どうしてデートするだけじゃ駄目なの? 今日は一日中一緒にいたのにどうしてそれだけじゃいけないの?
女:あなたが私のことをそんなふうに思っていたなんて………。余りに突然で何を言ったらいいのか、どうしていいのかわからないわ。少し私の気持ちを整理するために時間がほしいの。だから今夜は帰らせて。
男:わかったよ。君がボクの気持ちに応えてくれる日をずっと待っている。
女:私はこのままで充分なのよ。あなたが好きだし、あなたも私を好きでいてくれるんでしょ。

3.結婚するまではいやです。

女:どうしてそんなに焦るの。別に今夜でなきゃいけないわけでもあるの。それに万一のことを考えて、結婚を前提にした交際でなきゃいやなの。
男:そんなこと言ったってまだおれたち学生だぜ。結婚なんて………。
女:それじゃあ、あきらめるのね。それに今夜は絶対に無理よ。

女:あなたが私のことを愛してくれているなら、私の言うことをわかって。私は結婚または婚約していないうちに、男の人と二人で夜を明かしたくないのよ。これは私のポリシーとして曲げられないことなの。

女:でも私たちまだつきあって3週間だし、もっとお互いのことよく知り合う方が先よ。
男:君は古風だ。堅いよ。
女:そうよ。それは知っててつきあってくれているんじゃないの? 私はね、昔から結婚まではって決めてるんだから。

4.わたしってそんな軽い女じゃないわ。安っぽくそんな言葉口にしないで。

女:でも、私たち、そんないい加減な気持ちでいままでつきあってきたのかしら。あなたの口からそんな言葉が出るとは思わなかった。
男:ごめん……。男なんてそんなものなんだよ。でも君のこと思っているからなんだよ。
女:ごめんなさい。私こそ言い過ぎだったわ。でも雰囲気に流されるのはよくないと思わない!?
男:家までおくっていくよ。君の言うとおりだ。僕がどうかしてた。

5.結局男ってみんなそうなのね。女は受け身でも愛情と情欲の区別は知っているの。

女:好きなことは好きだけれど、まだ愛していないもの。それなのに、すぐ肉体を求める即物性には幻滅だわ。
女:女の人は愛情と情欲の区別を知っているの。少なくとも今のあなたは、この二つのことを混乱して考えているんじゃない。
男:そんな、誤解だ。僕はただ君のことを愛しているから………。
女:愛情を自分の欲望の言い訳にするようなマネはやめてちょうだい。
女:私もあなたのことを好きよ。だけど、今だけ愛されて、あきられて捨てられるのイヤよ。捨てられるのはいつも女………悲しいけれど、女は一度愛されると、どうしても離れたくなくなるのよ。それで男のほうが離れていく。そんなつらい目に会うなら愛さない方がいいわ。
女:私そういう不誠実なことがだいっ嫌いなの。だいたいね、結婚もしていない男女がそんなことして肉体的にも精神的にも打撃を受けるのはいつも女なのよ。男はいいわねえ、いい加減なこといっていい思いをしていればいいんだから。

6.あなたとのつきあいがそれだけになるのが嫌なの。

♀:私嫌なの。あなたとのつきあいが、それだけになるのが………。決してあなたを愛していないとか、そんなんじゃないの。自分を安売りしたくないのよ。自分を大切にしたいのよ。

女:ただね、このままいっちゃうと、これから会うとき、それだけを求めて会うようになりそうで嫌なの。

女:こわいのよ。自分が自分でなくなりそうで……。

7.その他

女:めんどくさいのよね。そういうのって。わかる?

前に、こういうケースでことわる理由には、圧倒的に「明日学校があるから」「親がうるさいから」という理由が多かったということを述べました。このような理由で言い逃れるのではなく、自分の考えと自分の意志とで拒否することをすすめたいわけです。
上記の文中に「私のポリシーとして曲げられない」という表現がありました。「ポリシー」という言葉を聞いて生徒たちは笑いますが、確かにこれは一つのポリシーなのかもしれないと私は思います。だから自分の明確なポリシーを持つようにとすすめているのです。モラルとかいうことばよりも「ポリシー」の方が適当な表現なのかもしれません。

もしも、ボーイフレンドからこのように言い寄られたときに、この「倫理」の授業の「恋のシナリオ名セリフ集」の一つでも思い出すことができたら、この授業の効果が表れる、まことに実践的な「性教育」であるのだと思いませんか。

ところが、この授業は高3では遅すぎると言われています。もっと早い時期にこのようなことをしなければならないのです。でも「シナリオ書き」は中学生には難しいでしょう。中学生にはどのようにしたらいいのか、いい案が思い浮かびません。 さらにこの授業は、少し古くなってきて、今の高校生のセンスとのずれも感じないでもないのです。さらなるバージョンアップが必要です。

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