函嶺白百合学園中学高等学校校長  Sr.深水洋子先生 

お手元のパンフレットのひとつは毎年姉妹校全体でつくられているものです。白百合学園は全国に7つの中学高等学校、2つの大学を持っていますが、そのパンフレットのいちばん後ろに白百合学園のはじまりがかかれています。
それはシャルトル聖パウロ修道女会からはじまっています。1696年にフランスで、ルイ王朝の時代に無学で貧困と苦しみにある貧しい子供たちの教育のために、司祭ルイ_ショウベー師が、村の子供達の教育を手伝ってくれる娘たちの協力を求め、申し出た娘たちが共同生活をはじめたところから、シャルトル聖パウロ修道女会がはじまりました。
農家を修復した質素な住まいで、昼は子どもたちの教育や病人の介助の仕事にたずさわり、夜は自らの暮らしを支えるための編み物などの手仕事に励みながらのはじまりでした。
創立者たちの何人かはその労苦のために病気になりいのちをささげることになるのですが、「一つの麦が地に落ちて死ねば多くの実を結ぶ」と聖書にあるとおり、学校の姉妹たちの営みに、評判が広まっていきました。シャルトルから要請を受けて学校をつくるようになって、シャルトルの「愛徳のスール」というように呼ばれるようになり、本部が置かれていました。
1727年南アメリカの仏領ギアナの病院への姉妹たちを派遣し、そこから全世界へのミッションが派遣されるようになりました。日本において1878年(明治11年)3人のマスールが函館におりたちました。函館五稜郭戦争の影響で、貧しい子供たちもおおく、授産所、施療院、養護施設を開設して福祉活動に従事するようになりました。さらに学校が開設され、北海道の女子教育の先駆的役割を担うことになります。
しかし、函館は火事が多いところ、明治40年の函館大火で労苦の結晶が失われました。その後も何度も火事にあって、一時は撤収を考えたくらいですが、市民の要請のもとに再建されています。「校舎は焼けても白百合の精神はなくならない」と言われていました。
函館の次が東京、盛岡、仙台、八代までが100周年を迎えました。湘南白百合は来年(平成23年)75周年、函嶺白百合は60年を迎えました。
聖書をもとに時代や地域を越えて普遍的に「良き知らせ」を人々に伝えるという宣教の目的のために、ひとりひとりが神に愛されている大切な自分であることに気づき、人類社会に奉仕ができる人間の育成をめざして教育活動に従事してきました。
女子教育をとおして女性本来の母性の役割を最大限に発揮できる女性になることをめざし、思いやり、いのちの尊さ、相手への気配りを持つ女性、癒しの心をもち、人に、社会に「奉仕する」ことのできる女性を育てたいと思っております。

校訓は「従順、勤勉、愛徳」 という3本柱に、「かけがえのない命を生きるための宗教性」と「開かれて生きるための世界性」を加えて、その目指すべき人間像を「18歳の姿」の中に描かれています。これは姉妹校すべて共通です。
この「18歳の姿」は、全国の姉妹校から毎年夏に集まって研修会をしている、その姉妹校研修会で作ったものです。少し前のことなので、現代に合わせて再検討の必要があります。校訓のなかの「従順」は、現代には少し古いように思われるかもしれませんが、「真の自由にいきる喜び」、「真理はあなたを自由にする」という聖書の言葉によります。
「勤勉」は能力を磨き、可能性に努力して他の人に力を役立てていくことが目標です。
「愛徳」 互いに大切にしあう喜び、自分だけではなくあの人も神に愛されているということを理解して愛することができるようになることです。
それを世界の人々と自然との関わりを大切にしながら実行していくというのが、姉妹校共通の目標です。

ここで、函嶺白百合学園の特徴を紹介しましょう。
学校は箱根の山の強羅というところにあります。小田原から湯本までは小田急、そこからさらに登山電車に乗って終点で、国立公園の観光地の中にある学校です。
はじまりは1944年東京の白百合学園小学校の疎開学校として出発しました。そのあと1949年に独立して発足、幼稚園、小学校、中学校、高校の一貫校となりました。幼稚園はその後閉鎖されましたが、他の姉妹校とは違い、少人数の静かなたたずまいの家族的雰囲気のなかに学校があります。小学校は1クラス、中高は2クラスです。創立60周年を迎えました。
創立者スール山本ウメは一流の国際人を育成したい、「国や人種を超えて愛しあうことのできるひと」、「自己の才能を伸ばす努力を怠らないひと、」「互いの違いを認め合うことのできるひと」を大切にして社会に世界に活躍できる女性を目指すことを特に意図していました。美しい自然の中で健やかに感性ゆたかに育ってほしいと思っています。
小さな学校で、心の教育を大切にし、祈りで始まり祈りで終わる学校生活です。
自分の大切さ、他の人の大切さ、そしていのちの大切さを知らせていきます。
それは相手を大切にするマナーとして表れます。挨拶ひとつでも気持ちよくすることは相手を大切にすることの表れでしょう。大学に入って、きれいな挨拶ができることの気持ちの良さをあらためて喜ばれた卒業生たちです。
世界各国30数カ国に姉妹校があり、国際交流を企画しています。5月にはフィリピンにおいて、アジア地区のフイリッピン、ベトナム、韓国、オーストラリア、インドネシア、日本など 100人近くの教員交流の場があります。 韓国やフィリピンから生徒を受け入れて姉妹校交流も実施しています。函嶺はまだそこまでいっていないのですが、オーストラリアの学校と交流をしているところです。

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