静岡聖光学院中学高等学校教育顧問 福本良雄先生  

私は、カトリックでない私学の校長を8年ほどして、さらに12年間カトリック学校の校長を12年間つとめてきました。もとの勤務先の北海道から静岡にかえってきて、カトリック精神を教員が生徒にどう伝えるかを教員の養成のために教えてほしいと教育顧問を仰せつかりました。教科として中1、中2の倫理を教えています。
カトリック精神つまり、建学の精神の継承のためには、まずカトリック教育の多様性を考える必要があるでしょう。それは建学の精神をになってきた修道会のカリスマ、特性を考えることであり、イエス・キリストが教えた精神を教育の中でどう具現化していくかということでもあります。
しかし、カトリック精神の担い手としての司祭や修道者が減ってきたという現実があります。それは一生を教育にささげた先輩たちがへっていくということです。
また、現代の若者たちの中にカトリックの組織や規律が合わないのではないかという危惧もあります。
その担い手をどう養っていくかというのは大きな悩みといえるでしょう。

私の奉職している静岡聖光学院は横浜聖光学院の兄弟校です。静岡県には45の私学がありますが、そのうち5校がカトリック校で、本校が唯一の男子校です。
静岡は保守的なところで、公立優先の風潮の強いところです。そんななかで雙葉、聖心、サレジオ(旧星美、現在は共学)の女子校がはじめにつくられました。そのあと男子校が地元からの期待と援助によってキリスト教教育修道士会に委託されて創設されました。
いまから40年前にロバート・ピエールを初めとする修道士が来られました。日本人の修道士が二人おりました。創設に加わった修道士たちのなかのひとりが現校長レイモンド・ヅシャールムです。それから多くの卒業生が地元で活躍するようになりました。

建学の精神は、カトリックの世界観に基づく人類普遍の価値を尊重する人格の育成、あわせて高尚かつ有能な社会の成員を育成することにあります。
それを具現化した言葉として「アカデミックな教育」「ジェントルマンを育てる」という二つの言葉を標榜しています。
「アカデミックな教育」とは知を愛し、至る所でアカデミックを追求するそういう教育です。
その一つとして、三層三段階教育という特徴を示しています。2年ごとに、基礎学習期、研究学習期、進路学習期という3層に分け、学習の段階をメインにして教育のシステムを組んでいく。授業が高い学問に対する興味関心を呼び起こすように、科学や歴史の自由研究を大事にして、アカデミックな学校の雰囲気をつくろうとしています。
もう一つは、カトリック教育ということです。イエス・キリストの教えを生きることが精神であり柱であります、そこが他の私学と異なるところです。その使命を絶対なくしてはいけないと思っています。
具体的には「カトリック倫理」の授業を週1時間ずつ確保しています。基礎的な人間の生き方を1年2年で教え、中3、高1、高2では「倫理社会」とあわせてカトリックの世界観と思想を世界全体の思想の中での位置づけまがら教えています。最後の学年は校長が「世の光地の塩」として生きるということを特別なカリキュラムで担当しています。
また、聖書研究会を各学年に週1時間おき、信徒の教員が担当しています。生徒は自由参加です。550人の生徒のうち80名が参加しています。退職した信徒の教員が担当している学年もあります。
また年に1回集まって聖書研究大会もしています。新しい教員も生徒と一緒にみことばの祭儀に参加するようになりました。
生徒のためのミサを月1回、学校のチャペルで行います。これも自由参加です。
クリスマスには奉仕作業をする 道路の清掃、老人ホームの訪問で習ったことを実践すします。
これらを計画担当するのは修道士2名と信徒教員8名です。校務分掌の中に宗教部があり、カトリックの行事に関する全ての計画準備を担当しています。信徒であってもなくてもサポートする態勢があります。
宗教の授業は二人の信徒の教員が担当しています。中1中2のために、カリキュラムもつくり「人間として生きる道」という教科書もつくりました。
またカトリック精神の継承のために教育顧問という制度があるのも本学院の特徴でしょう。カトリック精神をどう伝えるかについて、宗教部と連絡をしながら、カトリック教育の話しを新任教員にするのも教育顧問の仕事です。ここで、カトリック教育、聖光生の求める人間像や修道会の宣教使命ということについても共に考えます。漫然とするのではなくしっかりとしたカリキュラムを組んですることを心しています。忙しくてこられない先生には必ず補習をします。3年間きちんとカトリック精神とは何かということを一定のカリキュラムで行っています。
その他に生徒指導などで悩んでいる教員の相談にのっています。信徒の教員が力をあわせてカトリックの精神を受け継いで発展して行けるように力を尽くしています。
生徒の雰囲気は明るくのびのびしています。先生がたとの信頼関係もあると思います。人間的ふれあいの豊かな学校だと思っています。生徒はこの学校で学ぶことを誇りにしています。
いままではなんとなく大学に入ればいいと思っていたが、これからは質の高い大学を目指すように努力していきたいと思っております。

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