聖園女学院中学高等学校  平野俊介 

 聖園女学院の平野です。養成塾より依頼されました、本校の「建学の精神」を、理事会中の校長に代わって、塾生の皆さまに紹介させていただきます。限られた時間ですので、別冊「聖園女学院中学校高等学校 建学の精神と取り組み」に、本校の想いと取り組みの一端をまとめました。あわせて参考にしていただけましたら幸いです。
本日は、本校の建学の精神がどのようにして形成され、現在いかにして具体化されているか、「聖園の空気」をキーワードに紹介いたします。

 本校の名称は、聖なる園と書いて「みその」女学院と読みます。読みにくのですが、一度覚えたら、忘れない学校名です。
設立母体は「聖園(みこころ)の布教姉妹会 Congregatio Sororum Missinariarum Cordis Jesu」です。1920年に、日本の秋田で、ヨゼフ・ライネルス新潟教区長によって、愛を人々に告げ知らせることを使命に、創立されました。その後、藤沢に本部を移しました。現在でも、「喜んでする奉仕」「キリストと共に十字架に」をモットーとしてカテキスタ、教育、社会福祉などの主な使徒職を果たすために、約190名のシスターが北は砂川から南は沖永良部島まで、全国に派遣されています。その一環として、聖園女学院があり、理事長をはじめ、多くのシスターがたに支えられています。ここに、「聖園の空気」の原点があります。
 聖園女学院は、富士山と江ノ島を望む、湘南の高台にあります。1946年に藤沢に設立され、多くのシスターがたの苦労で積み上げられてきた学校です。1976年に中高一貫システムを導入し、今年、60回目の卒業生を送り出すところです。これまでに、約77000人の聖園生が、創立以来の精神を胸に、活躍中です。彼女たちこそ、「聖園の空気」を纏った具現者です。
 現在(2010.11.1現在)、聖園では、一学年約120名、全校で744名の生徒が学び、日々成長しています。入学当初は、一クラス30人の4クラスでスタートし、中2から一クラス40人の3クラスとなります。高校生になると、クラスの枠を超えて学年120人の団体へと昇華し、集団としての質を高めていく仕組みを採用しています。毎年6月に行われる球技大会の応援合戦では、高校3年生が、集団としての質の高さを後輩たちに実演し、生徒たちの間でも、伝統として受け継いでいることがわかります。全校生徒744名のうち信者は44名います。6年間、聖園で学んで卒業したのち、信者になるケースも多くあります。「聖園の空気」は集団として高まる質とともに熟していくのです。
 この生徒たちの学びと成長を、校長をはじめ73名の教職員が、黒衣に徹して支えさせていただいております。幸いなことに、校長もシスターです。全国のカトリック校の校長から神父やシスターが退いていると伺っておりますが、やはり、シスターの存在感は、生徒たちにとって、理屈や論理を超えて、とても大きなものです。現在、教職員73名のうちシスター8名を含めて15名が信者です。「聖園の空気」を、伝統と将来の観点から常に検証しています。

 「聖園の空気」の柱、すなわち建学の精神として「イエスの聖心(みこころ)の愛を伝える教育」を掲げています。これを具現化し、検証できるように体系化したものが、別冊の2ページにあります、教育体系図です。

 では、「聖園の空気」の柱である“イエスの聖心の愛”を、どのような取り組みに溶け込ませているか、ご紹介します。
大きな行事としては、ミサとクリスマスタブロが挙げられます。ミサは年5回あり、生徒たちは卒業までに、6年間で30回あずかることになります。クリスマスタブロという無言劇は、年1回ですが、全学年が合唱として参加し、一般の方々にも公開しております。ミサやタブロは、イエスの聖心の愛に触れる大切な機会で、カトリック校として最も大切にしているものです。
 日々の取り組みとしては、中高別に週2回ずつ行われる講堂朝礼と聖署朝礼、宗教の授業や黙想があります。講堂朝礼では“イエスの聖心の愛”を、校長が英語を交えて生徒たちに語りかけ、聖歌と祈りが生徒たちの心に行き渡らせます。6年間で300回前後かける取り組みです。聖署朝礼は隔週で中高別に、生徒たちが執り行います。新約聖書の朗読を通して“イエスの聖心の愛”に触れます。宗教の授業は全学年週1回あり、特に高校3年生の宗教は、校長自ら教壇に立ちます。生徒たちとの双方向のやり取りで、“イエスの聖心の愛”が、生徒たちの中に、大きな礎として育まれています。そのひとつの現われとして、別冊の4ページに、生徒の感想を掲載させていただきました。
 行事や日々の取り組みに加えて、希望する生徒には、錬成会やロザリオの祈り、各種ボランティアがあります。錬成会は、神父様の導きでキリスト教について理解を広げ、「命」や「使命」について考えを深めていきます。ロザリオの祈りは年に2回、本校にある小聖堂で行われます。中学生の小羊会と高校生のセシリア会を中心に祈りを捧げます。
 ボランティアとしては、本校に隣接する、聖園子どもの家でのボランティアをはじめ、地域清掃、路上生活者支援活動などを行います。
 このような取り組みを通じて、生徒たちは“イエスの聖心の愛”に触れ、「聖園の空気」を纏っていきます。本校の教育の柱は、こうして、生徒たちの間に行き渡り、この土台の上に、さまざまな活動が展開されるのです。

 こうした「聖園の空気」の熟成には、保護者の方々にも参加いただいております。聖書研究会は毎週火曜日から金曜日に実施され、土曜日も父親対象・母親対象で実施しています。希望される保護者の方々に、神父様やシスターがたと一緒に“イエスの聖心の愛”に触れています。テレサ会では、希望する保護者で、生徒とともに聖園子どもの家でのボランティア活動に参加しています。マリア会では、卒業生の保護者が聖書の勉強会やボランティア活動を行っています。
 このように、保護者の方々にも“イエスの聖心の愛”に触れて、「聖園の空気」づくりに参加いただいております。

 他方、「聖園の空気」づくりに教職員はどう取り組んでいるのでしょうか。ここ数年、大規模に執り行っていることは、校長および宗教部が中心となって進められている研修会・研究会・黙想会です。
 全教職員参加による研修会は、神父様の講話を通じて“イエスの聖心の愛”に触れ、現状の「聖園の空気」を検証します。そして、中長期的な「聖園女学院のビジョン・ミッション」を策定し、各自の取り組みに反映させていきます。希望者による研究会では、聖書を通じて“イエスの聖心の愛”に触れ、「聖園の空気」を別視点から検証します。今年度は旧約聖書のヨブ記から多くを学んでいます。黙想会も希望者で与かります。神父様の導きで、“イエスの聖心の愛”に触れ、自らが「聖園の空気」を纏えるよう、分かち合いも行っています。この養成塾も、教職員の学びの機会として大切にさせていただいております。
 こうした教職員の研修会・研究会・黙想会が、各種指導において、どのように溶け込んでいるか、紹介いたします。

1.宗教教育においては、「本物のあなたでありなさい」という価値観です。他から作られた価値観で動くのではなく、神に愛されている存在としての自分の信念を持って生きる、本物の自分であることを意識します。これは、宗教の授業での教育(宗教科教育)はもちろんのこと、全教職員が、全活動において行うものです。
2.生徒指導においては、生徒指導連絡会などを中心に、全教職員で生徒たちに向き合うことを意図しています。生徒たち一人一人が、本物の自分であるために、彼女たちの心に寄り添う姿勢を大事にしています。これも、担任や生徒指導部はもちろんのこと、全教職員が全活動で行うものです。
3.進路指導においては、本物の自分の生き方を育むために、中学1年生から、自分の存在、自分に与えられた使命を意識し、それをもとに学問の姿勢を身につけ、将来の設計を行うという生き方の指導です。大学受験は、その生き方を育む大切な機会です。
そこで長い人生の糧を修得できるように指導します。これも、教科担当や進路指導部はもちろんのこと、全教職員が全活動で行うものです。
4.ガリラヤ
 本校には「ガリラヤ」「エマオ」と名付けられた部屋があります。一人一人の居場所をもとめ、本物の自分に立ちかえるための部屋です。特に学業や生き方の問題でつまづいてしまう生徒のために、専任のシスターと一緒に、自分の存在を確認する場になっています。
5.聖パウロ学院の協力校であること
 高校のシステムは、単位取得が進級・卒業の基準となります。さまざまな事情で単位を取得できない生徒が、聖園で聖パウロ学園の通信講座を学べるようにするシステムです。聖園の制服を着て、聖園に通い、聖園の教室で聖園の先生からスクーリングを受け、聖園の行事にも参加できるようにしました。ひとりひとりの生徒とのつながりを大切にするために、このようなシステムによってどうにか高校卒業まで面倒をみるようにしています。現在5名がこのシステムを利用しています。

 このように、教職員は研修会・研究会・黙想会をつうじて検証・確認したことを、教育活動のなかで実践していきます。教職員が一丸となって「聖園の空気」熟成にかかわるためにも、この数年、研修や研究を重ねています

「聖園の空気」をキーワードに展開してきました。核であり柱でありすべてでもある“イエスの聖心の愛”を、聖心(みこころ)の布教姉妹会を母体に、聖園女学院の教職員、保護者、生徒が一丸となって熟成させていく。それが「聖園(みその)」です。ここでは語りつくせぬものですので、ぜひ、本校にいらしてください。こころからお待ち申し上げております。

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